チベット自治区初のサッカークラブ、民族間の橋渡し目指す
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【10月24日 AFP】中国チベット(Tibet)自治区初のサッカークラブ「ラサFC(Lhasa FC)」は、チベット族と漢族との間にくすぶり続ける緊張の緩和を目指して設立された、同国の最高地点に拠点を構えるクラブチームだ。
1951年のチベット「和平解放」以降、チベットと中国政府との関係は不安定な状態が続いている。関係者らは、同クラブがこの高地地域における「壁」を取り払ってくれるのではと期待を寄せる。
元体育教師で、現在チームの主力選手の一人であるミッドフィルダーのルオサン・サンシュ(Luosang Sanzhu)選手は、汗びっしょりの緑色のユニホーム姿で「今、クラブ内に差別はない。雰囲気が素晴らしい」と、整備の行き届いたピッチでの練習の合間にコメントした。
ただ問題が1つある。海抜3700メートルに在するクラブとあって、地元の人以外の選手は常に高山病に苦しめられており、特に漢族の選手らの敬遠を招いている。
クラブの会長を務めるチベット族のチダン・トゥオチ(Cidan Duoji)氏も、「彼ら(漢族選手)の獲得は難しい」と認め、「彼らは高山病を恐れ、ここでプレーするのは危険だと考えている」と述べた。
チベット族は、何世代にもわたって標高の高い場所で暮らし、酸素の薄い状態に適応している。だが外部から訪れた人々は、頭痛や嘔吐、不眠、疲労感といった症状に見舞われる恐れがあり、スポーツをするのも困難になる。そのためラサFCでも、漢族選手は1割しかいない。
それでも、チダン会長は「ラサFCは…2つのコミュニティーの文化交流の場だ」と話し、「チベットもスポーツの場になり得るのだと証明したい」続けた。
1951年に中国政府がチベットを支配下に置いて以来、チベット自治区内には漢族が大挙して移住してきた。そして、チベット族の多くは、固有の文化が希釈され、環境を犠牲にして天然資源が搾取されているとして、中国政府による強い弾圧を非難している。