【10月11日 AFP】オーストラリアで最大の人口を抱えるニューサウスウェールズ(New South Wales)州のマイク・ベアード(Mike Baird)首相は11日、州都シドニー(Sydney)で記者会見し、グレーハウンドのドッグレースを禁止する計画は「間違っていた」と認め、撤回する方針を明らかにした。

 ベアード首相は今年7月、動物が生き餌として使用されていたことや、数万匹のグレーハウンドが殺処分の憂き目に遭っていたとするスキャンダルが明るみに出たことを受け、来年7月からドッグレースを禁止すると発表した。

 しかし、ドッグレースの禁止は過剰反応として受け取られ、ドッグレース産業に依存している地域が打撃を受けるのではないかと懸念する一般市民から強い反発の声が上がっていた。

 ベアード首相は、ドッグレース業界に自ら改革を行う最後のチャンスを与えることにしたと語った。同首相によるとドッグレース業界は新たな改革案をいくつも提示しており、同州もドッグレースを監督する新しい組織を設置して、最も厳しい動物の保護基準や規制を導入するという。

 オーストラリアのグレーハウンドのドッグレース産業は世界で最も大規模なものの一つ。生き餌の使用は数十年前から禁止されていたが、昨年オーストラリア放送協会(ABC)が、競犬用のグレーハウンドの訓練で子ブタやウサギ、オポッサムなどの動物が生き餌として使用されていたことを報じていた。(c)AFP/Martin PARRY