サントス大統領へのノーベル平和賞に世論二分、コロンビア
このニュースをシェア
【10月8日 AFP】コロンビアのフアン・マヌエル・サントス(Juan Manuel Santos)大統領に2016年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)が授与されるとの発表を受けて、政府と左翼ゲリラ組織「コロンビア革命軍(FARC)」の和平合意をめぐり分裂している同国の世論の反応は二分した。
26万人が死亡、4万5000人が行方不明となっている内戦の終結を目指しコロンビア政府とFARCが9月26日に調印した和平協定は、今月2日の国民投票で、わずかな差で否決された。
FARCによって2004年に農地を接収された中部トリマ(Tolima)州の農場労働者ロドルフォ・オビエド(Rodolfo Oviedo)さん(40)は「サントスは(ノーベル平和賞に)値しない」と述べた。
オビエドさんは首都ボゴタ(Bogota)の大統領官邸前にあるボリバル広場(Bolivar Square)で1か月以上、テントを張って泊まり込みで抗議している。
オビエドさんは和平協定を批判する多くの人と同様、大統領がマルクス主義ゲリラ組織のFARCに対して弱腰すぎると非難しており、遠いキューバでFARCの最高幹部と会談をするのではなく、FARCの犠牲者の元へ出向いて耳を傾けるべきだったと語った。「完全に間違っている。彼はトップダウンで和平を始めた。下からじゃない。和平は農村部から、住んでいた場所から追い払われた人々と共に結ぶべきだ」。オビエドさんは内戦で故郷を追われた700万人近くの人々を政府が無視していると批判した。
1991年に中部メタ(Meta)州で土地から出て行くことを拒否した祖父をFARCに殺害されたホセ・アルベルト・ソリアノ(Jose Alberto Soriano)さん(18)も、サントス大統領へのノーベル平和賞授与は納得できないという。ソリアノさんもまた和平合意に反対する多くの人が挙げている、FARCが犯した大量殺人や拉致に対する免罪を非難した。「彼らは多くの家族を殺したのに、彼らに屈することになる」
一方、ボリビア広場で観光客の写真を撮影しているアルバロ・カスタネダ(Alvaro Castaneda)さん(62)は和平合意に賛成しており「サントス大統領はノーベル賞にふさわしいし、和平を達成するために闘ってきたコロンビア人全員が受賞にふさわしい」と述べた。
近くにいた会社員のニコラス・ヒラルド(Nicolas Giraldo)さん(29)は、このノーベル賞はコロンビア人に、「世界はコロンビアの和平追求の取り組みを支持している」というコロンビア人が最も必要としているメッセージを送ったと語った。(c)AFP/Rodrigo ALMONACID