殴られ、やけどを負わされ…児童強制労働の実態 ミャンマー
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【10月7日 AFP】ミャンマーのサン・ケー・カイン(San Kay Khine)さん(17)は、やけどや傷の痕が残る両手と曲がった指を見るたびに、強制労働させられていた5年間を思い出す──。彼女は、同国にいるとされる、搾取や虐待の危機にさらされた無数の児童労働者の一人だった。
サン・ケー・カインさんは先月、ヤンゴン(Yangon)の洋裁店から救出された。彼女はそこで同じ村出身のもう1人の少女と一緒に、5年間「メイド」として働かされていた。
店主一家は2人を殴り、刃物で切り付け、睡眠や食事も十分に与えていなかった。2人は時折投げ与えられるわずかな金銭のために、これら全てを耐え忍んでいた。
ミャンマーでは、豊かで都会的な中流階級の家庭が増えつつあるが、その一方で、彼女たち2人と同様にメイドとして働かされる、貧しい地方出身の子どもたちが何万人もいる。
人権団体は、家族を養っていける仕事があるとの口車に乗せられる子どもたちの多くが虐待のリスクにさらされていると指摘する。しかし、司法が富裕層を優遇する貧困国にあっては、問題の調査が十分に行われていないのも事実だ。
サン・ケー・カインさんの指は、雇用主に痛めつけられてあり得ない角度に曲がっている。心に負った傷が大きく、自身に何が起こったかを語ることもできない。「家に居たい」とささやくだけだ。
彼女の代わって詳細を明らかにしたのは、同じ店で同じ苦しみに耐えたタジン(Thazin)さん(16)だ。ヤンゴンから車で数時間の場所にある故郷の村でAFPの取材に応じたタジンさんは、「脚にはアイロンを押し付けられた痕がある。頭にも傷がある」と語った。
鼻の上にも傷があった。「これはナイフで切られた時の傷です、私の料理がまずかったとの理由からだった」と当時を振り返った。
サン・ケー・カインさんとタジンさんも、他の多くの子どもたち同様、村の友人から良い仕事を紹介するとの約束でヤンゴンに連れて行かれた。
少女らの家族は何年にもわたって救出を試み、雇用主に2度掛け合ったが相手にされることはなかった。その後、地元のあるジャーナリストが、国家人権委員会に通報し、ようやく自由を取り戻すことができたのだという。洋裁店の店主と、その成人した2人の子どもは逮捕され、人身売買の罪で訴追された。