【10月6日 AFP】中国にとって「最大の脅威」は米国──中国人を対象に行われた意識調査の結果が5日に発表され、回答者の多くが、世界一の経済大国である米国には「中国が同レベルの大国になるのを阻止」したい考えがあるとの疑念を持っていることが明らかになった。

 調査を実施したのは、米首都ワシントン(Washington D.C.)に本部を置くピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)。中国人を対象に「重大な脅威」について尋ねたところ、回答者3154人のうち、米国の権力と影響力と答えた人は45%と最も多かった。経済不安(35%)、気候変動(34%)、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」(15%)がこれに続いた。

 その一方で、回答者の半数は、米国に対して「好意的な見方」を示しており、このうち18~34歳ではその割合が60%に上った。

 今回の調査結果は、南シナ海(South China Sea)における中国の領有権問題をめぐり米中両政府が対立する中で発表された。米国は中国に対して法の順守を求めているが、中国側は内政干渉と反発している。

 10年前に比べて「世界の諸問題で重要な役割を果たすようになった国(地域)は?」との質問では、中国と回答した人は75%で最も多かった。米国との回答はわずか21%で、欧州は23%、インドは68%だった。

 しかし、中国の国際的地位に対する自信とは対照的に、諸問題に対して多くの人が不安を抱いていることも調査結果で浮き彫りになった。「他国の影響から(自国民の)生活様式を守る必要がある」と答えた人は全体の約4分の3に上り、2002年の64%よりも上昇した。

 また、中国の外交力は増したが、公人の汚職など国内の問題をより重視してほしいと答えた人は56%、貧富の格差を「非常に大きな問題」とした人は37%に上った。他方で、食の安全(74%)、大気汚染(70%)、物価上昇(74%)なども不安要素として挙げられた。(c)AFP