温室効果ガスのメタン、排出量推定の2倍か 研究
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【10月6日 AFP】強力な温室効果ガスであるメタンの全世界の排出量は、現在の推定値の2倍である恐れがあるとする研究論文が5日、発表された。論文は、気候変動を抑制する取り組みへの課題が上乗せされたとしている。
英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文は、先行研究の約100倍の規模のデータベースを基にしている。これまでの研究で一部を担っていた、議論の余地のある仮定を回避する手法も採用されている。
論文の主執筆者で米海洋大気局(NOAA)科学者のステファン・シュワイエツェク(Stefan Schwietzke)氏はAFPの取材に対し、産業活動由来の排出と地質学的な自然要因による排出を合計したメタンの全排出量は、「現在の推定値より60~110%高い」と述べた。
この研究結果は、11月4日に発効の「パリ協定(Paris Agreement)」でも掲げられている、平均気温上昇値を産業革命前比で「2度未満」とする地球の温暖化抑制に向けた目標への世界的な取り組みに深刻な影響を及ぼす恐れがあると専門家らは指摘する。
メタンは、二酸化炭素に次ぐ地球温暖化の原因。18世紀半ばに産業革命が始まって以降の積算温度約5分の1に寄与したとされる。
湿地や山火事、シロアリ、野生動物などの自然要因も、年間のメタン排出量では大きな割合を占めている。ただ、大気中のメタンの大半は、化石燃料の生産や畜牛、埋め立て地、水田など、人間の活動によって排出されたもので、その濃度はこれまでの推定値の最大約2倍に上ると論文は指摘している。(c)AFP/Marlowe HOOD