【10月5日 AFP】ロシア国防省は4日、シリア西部タルトス(Tartus)にあるロシアの海軍施設に高性能の地対空ミサイルシステム「S300」を配備すると発表した。施設の防衛を強化するのが目的としている。

 同省の報道官は声明で、S300をシリアに向けて発送したと明らかにした上で「S300は純粋に防衛のためのシステムであり、誰にとっても脅威にはならない」と主張した。

 ロシアはバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権を支援してシリア内戦に介入。事実上崩壊した停戦を復活させるための米国との協議は、ロシア側が責任を果たしていないとして米側が3日に停止を発表している。

 米国防総省のピーター・クック(Peter Cook)報道官はS300の配備について、米主導の連合軍がシリア北部で行っているイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」への空爆作戦には影響しないと指摘。一方で、ロシア側はシリアでの軍事行動に関してISなど過激派の掃討が第一の目的だと説明していたと述べ、今回の配備に疑問を呈した。

 ロシアはシリア国内でタルトスの海軍施設のほかに地中海沿海ラタキア(Latakia)市の郊外に空軍基地を持ち、シリアで空爆を行う軍用機の拠点として活用している。

 ロシア政府高官は8月、同空軍基地を恒久的な軍事施設として拡張する計画だと明らかにしていた。この基地には既にロシア最先端の高性能地対空ミサイルシステム「S400」が配備されている。(c)AFP