【10月1日 AFP】ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官が、シリア内戦の終結を目指す自身の外交努力が米軍の支援を受けていないことに不満を漏らしていたことが先月30日に流出した録音音声で明らかになった。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が公開した音声によると、ケリー氏は、国連総会(UN General Assembly)に合わせて先週ニューヨーク(New York)で行われたシリア人の市民団体との私的な会合の席で、米国はシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に対して行動を起こすべきだという自身の主張は聞き捨てられていると嘆いた。

 ケリー氏は「皆さんは武力行使を主張してきた人間を米政権内で3、4人は目にしていると思うが、私はその議論に負けた」と述べ、「私も武力行使を支持する意見を述べてきたが…事態は別の展開を遂げてしまった」と語っている。

 米国務省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は、録音された音声の信ぴょう性については否定せず、「プライベートな会話についてはコメントしないが、ケリー長官はこのシリア人の団体と会談し、彼らの懸念に直接耳を傾け、シリア内戦に終止符を打つため米国は継続的に取り組んでいくと表明する機会を持てたことには感謝していた」と述べた。

 アサド大統領を退陣させ、6年にも及ぼうとしているシリア内戦の終結に向けた国際社会の取り組みをてこ入れするため、ケリー氏がバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領にシリアでより断固たる行動を起こすよう促してきたことはこれまでにもたびたび報じられている。

 2013年8月、ケリー国務長官はアサド大統領が民間人に化学兵器を使用したと非難されたことを受けて、米軍による報復攻撃を予告するかのような激烈なスピーチを行ったが、そのわずか数時間後にオバマ大統領がそのような報復の実施を否定したことがあった。

 30日にリークされた録音の中でケリー氏はこの時のスピーチに触れたが、アサド大統領に対する米軍の軍事行動を承認する採決をしなかった米議会を批判していた。

 ケリー国務長官はロシア政府と協力してシリア政府軍を抑制し政治対話の余地を生み出す努力さえしているが、公の場では慎重に、ホワイトハウス(White House)と一致団結して対処しているという姿勢を取っている。(c)AFP