【9月30日 AFP】オランダの首都アムステルダム(Amsterdam)で29日、セックスワーカ―たちが自ら売春施設の経営を担うプロジェクトを立ち上げた。性産業における搾取をなくすのが目的で、欧州で唯一無二の事業だとうたっている。社会的投資ファンドの融資で実現した。

My Red Light(私の赤線)」と題したプロジェクトは、2017年5月にサービス開始予定。「夢がかなった」と語る広報担当のリシャルト・ボウマン(Richard Bouwman)氏によれば、「完全にセックスワーカ―のみで運営する初の性ビジネス」だという。

 オランダでは2000年に売春が合法化された。世界的に有名なアムステルダムの赤線地区には、売春に従事する女性や男性が客引きのために腰かける「飾り窓」が並ぶ。売春者は商工会議所に登録し、所得税も収める。売春あっせん業者は許可証が必要で、しばしば高額の手数料を支払う。

「My Red Light」では、赤線地区に面した4つのビルの「飾り窓」14か所を「賃貸オフィス」として売春従事者に貸し出す。「魅力的な賃貸料と融通の利く契約期間」で飾り窓を提供することで、セックスワーカ―たちが自営の起業家として収入を得、社会的地位を高められるようにする計画だ。

 女性だけでなく男性やトランスジェンダー(性別越境者)の売春者も対象となる。

「誰でも気軽に取締役会に参加したり、管理職についたりしてほしい。あらゆる形の(ジェンダー)ステレオタイプを崩したいのです。私たちは、この産業で働くあらゆる人たちのためにここにいます」と、プロジェクト広報のダイナ・ボンズ(Dinah Bons)氏は語った。

 プロジェクトはアムステルダム市当局の要請で昨年実施されたフィージビリティスタディ(実現可能性調査)の結果実現したもので、社会奉仕ファンド「スタート・ファウンデーション(Start Foundation)」とオランダの銀行ラボバンク(Rabobank)が出資している。市観光局によると、「市内の性産業をクリーンで安全なものにし、売春従事者の自立性を高める」という市の政策の一環だという。(c)AFP/Maude BRULARD