【9月28日 AFP】(写真追加)シリア政府軍とロシア軍による空爆が激化する中、シリア北部アレッポ(Aleppo)で生存を続けるのは、今後数週間で不可能となるかもしれない──民間防衛隊「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」の隊長が27日、AFPへのインタビューで語った。

 ホワイト・ヘルメットのラエド・サレハ(Raed Saleh)氏は、反体制派が掌握する同市東部地区は包囲されているため、同地区から逃げたり同市が陥落したりした場合、市民25万人が虐殺される恐れがあると述べる。

 米首都ワシントン(Washington)で取材に応じたサレハ氏は「今もとどまっている民間人は、機会さえあればどこへでも逃げたいだろう。だが彼らに提供できる安全や保護は何もない。彼らの多くが虐待や誘拐、拘束に直面するのではないかと恐れている」と市民が置かれた状況を説明した。米露仲介の9月9日の停戦に対して、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が終了を表明してからの8日間で、アレッポ市には約1700発の爆弾が落とされたという。

 ロシア軍とシリア政府軍の戦闘機は、アレッポの包囲地区へ波状攻撃を行い、密集し崩れ落ちる民間住宅の中で多くの犠牲者が出ている。同地区への攻撃では初めてとなる武器も使用。一連の空爆では地中貫通爆弾(バンカーバスター)と呼ばれる爆弾が19回、クラスター爆弾および白リン弾も約200回使われた。バンカーバスターを使用すると、犠牲者の遺体はがれきの中に埋もれてしまうという。

 サレハ氏は「死者と負傷者を合わせると1000人に上る」と訴えている。同氏が主張する犠牲者数を確認することは不可能だが、各国際団体は空爆を非難しており、国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は戦争犯罪にあたる恐れがあると述べている。

 すでに6年目に入っているシリアの内戦では、これまでに30万人以上が死亡、数百万人が家を追われているが、包囲下のアレッポでは逃げるという選択肢すらないのが現状だ。サレハ氏は、現地からの情報を基に「民間施設によるサービスは今後1か月と持たないだろう」と述べ、「水も電気も燃料もなくなり、病院は立ち行かなくなる。このような状況が続くなら、大規模な虐殺となるだろう」と警告した。(c)AFP/Nicolas REVISE Dave Clark