【9月23日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)と同リーグの選手協会(NBA Players Association)は22日、アフリカ系の米国人男性2人が警官に射殺された事件の影響が米スポーツ界に及んだことを受け、選手に対していかにして「有意義な行動」を取るべきか助言を行った。

 この問題では、米アメリカンフットボール(NFL)のサンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)に所属するQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が、試合前の国歌演奏の際に起立を拒否して人種差別や警官の暴挙に抗議する意思を示し、世論を二分する騒動に発展している。

 キャパニックが米国歌「星条旗(The Star-Spangled Banner)」の際に膝をつく行為については、NFLの選手に加えてサッカー女子米国代表のミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)も同調しているほか、米女子プロバスケットボール協会(WNBA)では21日の試合前に、インディアナ・フィーバー(Indiana Fever)の全選手が同様のジェスチャーをみせるなど各方面に拡大している。

 NBAのアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーと選手会のミシェル・ロバーツ(Michelle Roberts)事務局長は、複数のメディアが入手した選手宛ての書簡で、「この数週間にわたり、あなた方から状況の改善に向けてどのように対処すべきかの助言や、自身の努力を前進させるための支援を求める声が上がっている」とすると、「リーグおよび選手会は連携を図り、全員が一丸となって有意義な行動に出るための現実的な方法を見いだしているところだ」と述べている。

 この書簡の中には、選手やチーム関係者に対して国歌演奏での起立を促す規則の記述は一切なかった。

 代わりに、7月に発表されたスポーツ賞「ESPY賞(ESPY Awards)」の授賞式でニューヨーク・ニックス(New York Knicks)のカーメロ・アンソニー (Carmelo Anthony)を筆頭に、クリーブランド・キャバリアーズ(Cleveland Cavaliers)のレブロン・ジェームズ(LeBron James)、ロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)のクリス・ポール(Chris Paul)、そしてシカゴ・ブルズ(Chicago Bulls)のドウェイン・ウェイド(Dwyane Wade)が、「われわれの社会に影響を及ぼしている無分別な暴力行為について、雄弁に訴えた」と記している。

 先日、米オクラホマ(Oklahoma)州タルサ(Tulsa)で黒人男性のテレンス・クラッチャー(Terence Crutcher)さんが警官に射殺された事件を受け、ウェイドは自身のインスタグラム(Instagram)で、「もっと団結しろ!もっと黒人社会の強さを示せ!さもなければ、これからも朝目を覚ましたときに、われわれには関係ないかのように俺たちが撃たれる話題に遭遇することになる。もっとお互いに関心を向けることを示せ!#TERENCECRUTCHER #WEAREMORE」と訴えた。

 ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)の伝説的選手として知られるマジック・ジョンソン(Magic Johnson)氏もまた、最近の殺人事件について発言しており、ツイッター(Twitter)には、「こういうことがあまりにも多すぎる。タルサとシャーロット(Charlotte)の無分別な銃殺事件は、米国にはやるべき仕事が山積みであることを強く示している」というメッセージを投稿した。(c)AFP