迫害と差別を乗り越えて ミス・トランスジェンダーたちの「勝利」
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【9月26日 AFP】ミス・サハラ(Miss SaHHara)さんは、生まれる国を間違った。そして、生まれつきの体も間違っていた。
トランスジェンダー(性別越境者)のミス・サハラさんは、母国ナイジェリアで抑圧され、自殺を図るところまで追い詰められた。そんなつらい過去を持つ彼女だが、スペイン東部コルネリャ・デ・リョブレガート(Cornella de Llobregat)で今月開催されたトランスジェンダーの美人コンテスト「ミス・トランス・スター・インターナショナル(Miss Trans Star International)」では見事ファイナリストに選出。クリーム色のドレス姿でランウェイを闊歩(かっぽ)した。
コンテストは2010年から始まり、今回が5回目。今年のミス・トランス・クイーンにはブラジル代表のラファエル・マンフリーニ(Rafael Manfrini)さんが輝いた。もっとも、差別や抑圧に苦しんできた参加者たちにとって、優勝は二の次だったと言えるだろう。
「ここでは誰もが優勝者。私たちは人生に勝利しているのですから」。準優勝だったイスラエル代表のタレン・アブ・ハンナ(Tallen Abu Hanna)さんはそう語っている。
大会の参加者25人の多くは、政府による迫害や社会での差別、さらには身内からの拒絶といったつらい過去を乗り越えてきた人たちだ。会場ではそんな彼女たちが大胆不敵に、水着やドレス姿でモデルウオークを披露してみせた。
コンテストを設立したターラ・ウェルズ(Thara Wells)さんは、大会の狙いをこう説明する。「社会の注目を集めたいと考えている。たんに美しさを競い合うだけではなく、彼女たち一人ひとりの人生の物語を伝えたい」
参加者の出身国は日本や南アフリカ、コロンビア、トルコ、ナイジェリアなどさまざまだ。