【9月18日 AFP】ドイツの主要7都市で17日、米国と欧州連合（EU）が締結を目指している「環大西洋貿易投資パートナーシップ（TTIP）」への抗議デモが行われ、計16万人以上が参加した。

　現地のAFP記者らによると首都ベルリン（Berlin）やミュンヘン（Munich）では雨天にもかかわらず、TTIP反対組織やNGO、政党、労働組合から多数の人々が「TTIPではなく民主主義を」「共有しよう、分断するな」などと書かれた横断幕やプラカード、旗を掲げてデモ行進した。

　7都市のデモ参加者総数について一部の主催者は32万人と発表しているが、警察発表は16万3000人から18万8000人の間としている。

　反グローバリゼーション団体ATTACのローランド・スース（Roland Suess）氏は抗議デモが行われる前、AFPの取材に7都市で25万人、うちベルリンで7万人の参加者を見込んでいると語っていた。

　米国とEUは2013年、域内人口8億5000万人で世界最大となる二者間貿易協定を目指したTTIPの締結に向けた交渉を開始した。しかし保健や福祉、環境、労働市場などの主要分野においてEU基準がおろそかにされたり、海外への外注が増え失業増加につながったりするのではといった懸念が欧州側に広がり、交渉は暗礁に乗り上げている。

　とりわけドイツでTTIPへの疑念が高まっている。世論調査会社イプソス（Ipsos）の最近の調査では、回答者の約28％TTIPによって実際に恩恵がもたらされることに疑念を抱いており、半数以上の52％がEU基準が弱体化して劣悪な製品が大量に出回るだろうと答えている。

　中小企業団体を代表してベルリンでのデモを組織したアクセル・カイザー（Axel Kaiser）さんは「欧州では人間を最も大切にする。私たちがTTIPを阻止しなければならないと考えるのはそのためだ」と語った。(c)AFP/Yannick PASQUET