英国反ドーピング機関、新たな医療記録の流出に激怒
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【9月17日 AFP】英国反ドーピング機関(UKAD)は16日、世界反ドーピング機関(WADA)を標的にしているハッカー集団によって、自国選手の医療記録が漏えいされたことに対し怒りをあらわにした。
ロシア人らとみられているハッカー組織ファンシー・ベアーズ(Fancy Bears)によって、同日新たにリオデジャネイロ五輪の英国代表4選手の医療情報がリークされ、そのなかには自転車のローラ・トロット(Laura Trott)と、女子ボクシングのニコラ・アダムズ(Nicola Adams)が含まれていた。残り2人の名前は、水泳のショバーン・マリー・オコナー(Siobhan Marie O'Connor)と、ボートのオリビア・カーネギー・ブラウン(Olivia Carnegie-Brown)と判明している。
この集団はこれまで、自転車ロードレースのブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins)やクリス・フルーム(Chris Froome)ら英国人選手以外に、女子テニスのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams)とヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams)姉妹、さらにはリオ五輪の体操女子で金メダル4個を獲得したシモーネ・バイルス(Simone Biles)ら米国選手の医療データを流出させている。
UKADのニコール・サプステッド(Nicole Sapstead)会長は、「英国代表メンバーの個人情報が公開されたことについては絶対に容認できません。この行為は、被害に遭った選手に不必要で不当な不安を与えるものです。引き続きこの事件については、極めて重要かつ深刻な問題として扱い、WADAと緊密に連絡を取っています」と述べた。
標的にされた選手は、いずれも治療目的使用の適用措置(Therapeutic Use Exemption、TUE)を受けており、通常であれば反ドーピング規則に抵触する薬の服用が特別に認められている。
TUEが許可されるのは、持病や体調不良により通常では使用が禁止されている薬を必要とする選手となっており、これまで情報がリークされた選手に不正行為がみられた事実は一切ない。
トロットの代理人は英通信社プレス・アソシエーション(Press Association、PA)に対し、「ローラが幼いころからぜんそくを患っていることは周知の通りだ。ほとんどのぜんそく患者は、日常生活において吸入具が手離せない」とすると、「インターネットに彼女の医療記録が流出したことは遺憾だ。しかし、彼女はぜんそくに関する議論をいつでも歓迎している」とコメントした。(c)AFP