【9月16日 AFP】米国は15日、停戦に入っているシリアで、包囲されている都市への救援物資の搬入をシリア政府が妨害していると非難した。一方シリアと同盟関係にあるロシアは、停戦合意に基づく義務を履行していないのは米国の方だと主張。停戦を仲介した米露の間に新たな緊張が生まれている。

 ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)米大統領報道官は、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に対して国連(UN)の車列が北部アレッポ(Aleppo)などの都市に入ることを認めるように仕向けるのは、アサド氏を支援しているロシアの責任だと指摘した。

 米国防総省のピーター・クック(Peter Cook)報道官も、ロシアがアサド氏を説得して反体制派への攻撃を中止させ、人道支援が行えるようにしない限り、米露間の軍事協力はありえないと警告した。

 ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)露外相は先週、シリア内戦の当事者に対して戦闘を中止し援助を受け入れるよう圧力を掛けていくことで合意。ロシアはアサド氏に停戦合意を受け入れるよう促し、一方の米国は反体制派への対応の責任を負うという取り決めだった。

 シリアの停戦は12日夕に発効し、米露両国は14日に期間を48時間延長することで合意した。

 国連は、援助物資を積み込んだトラック20台がトルコとシリア間の緩衝地帯で2日間足止めされているとして、政府軍に包囲されているアレッポの反体制派支配地区へ16日に物資を届けられるよう求めている。

 ロシアは15日、シリア政府軍側が「義務を果たして(物資搬送ルートから)徐々に撤退を始めている」のに対し、反体制派側は合意していた同時撤退に踏み切った様子がみられないと批判した。(c)AFP