【9月14日 AFP】インドネシアのジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領は12日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領から、麻薬密売の罪で死刑判決を受けたフィリピン国籍のメイドについて、死刑執行の承認を得たと語った。このメイドに対しては、死刑の中止を求めるなど、大きな支援が集まっている。

 フィリピン側はウィドド大統領の発言を否定し、ドゥテルテ大統領はインドネシアの司法手続きの結果を尊重すると約束しただけだと主張している。ドゥテルテ大統領が進める麻薬撲滅の取り締まりでは、わずか2か月の間に約3000人が死亡した。

 ドゥテルテ大統領は先週、インドネシアのジャカルタ(Jakarta)で行われた首脳会談の際に、ウィドド大統領に死刑執行の許可を出したとみられる。ウィドド大統領によると、首脳会談でメイドの事件について話している際に、ドゥテルテ大統領がこの発言をした。

「死刑執行の延期について先日、(ドゥテルテ大統領に)説明した」とウィドド大統領は12日、記者団に語り、「死刑執行したいならどうぞ、とドゥテルテ大統領から返答があった」と述べた。

■死刑執行の中止求める声

 2児の母のメアリー・ジェーン・ベローソ(Mary Jane Veloso)死刑囚は2009年、2.6キロのヘロインを入れたスーツケースを運んでいるところを逮捕され、死刑判決を言い渡された。

 だが昨年、ベローソ死刑囚の死刑が執行される直前、同死刑囚を密輸に勧誘した疑いのある女がフィリピンで逮捕され、刑の執行が一時延期された。勧誘役とされる女をめぐる法手続きは現在もフィリピンで続いているが、世界で最も厳しい反麻薬法を持つインドネシアの政府は、ベローソ死刑囚の死刑判決は現在でも有効だとしている。

 ベローソ死刑囚の事件は、フィリピンとインドネシアで大きな注目を集め、フィリピンのボクシングのスター選手マニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)氏が死刑執行の中止を呼び掛けている。ベローソ死刑囚を支援する人々は、同死刑囚はメイドの仕事のためにインドネシアに行っただけで、国際的な麻薬組織にヘロイン運ぶようだまされたと主張している。(c)AFP