【9月14日 AFP】中国北西部・甘粛(Gansu)省で、貧困世帯の母親が子ども4人をおので斬殺した上、自殺する事件があった。その2週間後には夫も自殺。事件はインターネット上での憤りの声や、貧富の差をめぐる議論を巻き起こしている。

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 同州警察によると、母親の楊改蘭(Yang Gailan)容疑者(28)は、6歳、5歳、3歳の娘3人と5歳の息子をおので殺害した後、農薬を飲んで自殺。夫の李克英(Li Keying)さんも、家族の葬儀を済ませた後に服毒自殺した。

 報道によると、一家は住んでいた阿姑山(Agushan)村でも最貧層だったが、村の委員会は、世帯年収が貧困線の2300元(約3万5000円)を上回っているとして、政府が支給する低所得世帯向けの生活保護費の支給を拒否していた。

 複数のメディアが、事件の要因の一つとして当局の腐敗を挙げ、一家の生活保護申請が却下されたのは地元役人に賄賂を渡していなかったためだと報じている。

 中国青年報(China Youth Daily)によると、楊容疑者は地元病院に搬送された際、治療自体は拒否しなかったものの、「私を救わないで」と繰り返し訴えていたという。

 中国は世界第2位の経済大国に急成長したが、貧富の差は歴然と残っている。国営英字紙・環球時報(Global Times)は国家統計局のまとめとして、貧困線以下での生活を強いられている人が現在7000万人に上っていると報じている。

 同紙は中国社会科学院(CASS)の地方開発専門家、党国英(Dang Guoying)氏の話として、「この事件は、開発が進んだ東部の都市部に暮らす中国人に衝撃を与えた。依然何百万人もの国民が貧困生活を強いられているということが想像できない人が大半だからだ」と指摘している。(c)AFP