米露、シリアで停戦維持できれば合同空爆実施へ ISなど標的
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【9月10日 AFP】(更新、写真追加)米国とロシアは9日、今月12日からシリアで新たに停戦を実施し、これが1週間維持できればイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」などに対し米露が合同で空爆を実施することで合意した。
スイス・ジュネーブ(Geneva)でセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)露外相とジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官が長時間にわたる会談を行い、イスラム教の祭日「犠牲祭(イード・アル・アドハ、Eid al-Adha)」が始まる12日に停戦入りする計画で合意。停戦が1週間維持できた場合、ISと「シリア征服戦線(Jabhat Fateh al-Sham、旧アルヌスラ戦線、Al-Nusra Front)」に対する合同空爆作戦を行う方針で一致したという。
ラブロフ外相は、米露は空爆対象地域についても合意しており「これらの地域では米露の空軍のみが活動することになる」と述べた。ケリー国務長官は、この計画はこれまでに29万人以上が死亡したシリア内戦の終結に向けた協議につながると信じていると述べた。
交渉の終盤でケリー氏がバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に連絡を取って承認を求めたため交渉は長引いたが、ケリー氏は両国の政府はいずれもこの計画を支持していると述べた。
停戦が実現すればシリア政府側と反体制側の双方はアレッポ(Aleppo)周辺の主要な物資補給ルート沿いから撤退することになり、敵に包囲された地域の人々が喉から手が出るほど必要としている人道支援物資を届けられるようになる。
国連(UN)のスタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)シリア問題担当特使は交渉終了後にケリー、ラブロフ両氏のもとに現れて合意を歓迎するとともに、計画実施への国際的な支援を潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長に要請すると述べた。
米国は、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が市民への空爆をやめ、停戦を尊重し、アレッポの包囲を解くよう、ロシアが確実なステップを取ることを望んでいるが、ラブロフ外相はロシア政府としては全当事者が停戦に従うという「100%の保証」はできないと述べた。(c)AFP/Dave Clark