【10月4日 AFP】西アフリカのコートジボワールでカカオを栽培していたフェルディナン・コナン・ヤオ(Ferdinand Konan Yao)さんは、農業をやめ、プランテーションの奥地にある違法の金鉱山で働いている。カカオの生産は同国の基幹産業だが、ヤオさんのように金採掘の仕事に転向する人が後を絶たない。

「もう5年以上も雨が降っておらず、カカオに価値はなくなった」と、カウボーイハットをかぶったヤオさんは言う。

 東部ヌジ・コモエ(Nzi-Comoe)の半径300キロ以上の範囲に点在する数十の違法な鉱山には、何千人という元カカオ生産者たちが富を求めてやって来る。

 彼らの先代たちは、コートジボワールを世界最大のカカオ輸出国へと押し上げ、1970年代に「奇跡」と呼ばれた経済成長をもたらした立役者だ。だが現在では、「元農家の鉱山労働者」たちが毎朝小さな集団になって、つるはしやシャベル、くわを手に森林を抜けて金鉱へと向かう。

 採掘現場ではプランテーションの中央に幅の広い溝が掘られ、根こそぎにされた木々が横たわっている。作業を担うのは、かつての「カカオベルト(カカオの産地)」で働いていた健康な元農家の人々だ。この地域は深刻な気候変動に見舞われており、それが多くの人々がカカオ栽培をやめて金採掘を始めた原因だと言われている。

 1日の終わりには、現場にやって来るブルキナファソやマリ、ギニア、レバノンからの仲介人に金塊が1グラム当たり2万CFAフラン(約3500円)で売られる。売り上げは労働者と地主、採掘道具を貸し出した人との間で分配される。