【9月7日 AFP】世界で最も忙しい空港の一つ、米ニューヨーク(New York)のケネディ国際空港(John F. Kennedy International Airport)近くの海で、カキ5万個を育てるプロジェクトが発足した──養殖施設の材料として使われるのは、再利用した磁器製の便器5000個だ。

 ニューヨーク市が6日に発表した「Billion Oyster Project(オイスター10億個プロジェクト)」の主な目的は、ケネディ国際空港があるジャマイカ湾(Jamaica Bay)の塩性湿地の半塩水と真水の水質改善および暴風雨対策だ。

 費用100万ドル(約1億円)の同プロジェクトで使われるのは、約5000個の便器。これを砕いて再利用し、カキを養殖する。ここでは、汚染と乱獲により、野生の個体が数十年前に絶滅している。

 カキは、水中の汚染物質をろ過し、湿地と海岸線を浸食や高潮から守るほか、海洋生物の生息可能な環境をつくるなど、海洋生態系を健全に保つ役目を果たす。

 ニューヨーク市当局も、暴風雨の影響を和らげ、水を浄化するカキが、持続可能で災害に強い街を築くために一役買ってくれるのではないかと期待を寄せている。ニューヨーク市は2012年、ハリケーン「サンディ(Sandy)」の影響で都市機能が麻痺した。

 カキは十分な大きさに育つと産卵し、その後は、人手をそれほど必要とせずとも成長すると見込まれている。周辺の水域は、2年間にわたって水質改善の観測が続けられる。

 市当局によると、これらのカキは食用に養殖されるわけではないため、トイレ育ちのカキがニューヨークのレストランで提供されることはとりあえずないようだ。(c)AFP