韓国の「美の基準」に立ち向かう、プラスサイズモデルの挑戦
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【9月9日 AFP】美に対する理想が極めて高く、着せ替え人形のバービー(Barbie)でさえも基準を満たせそうにない韓国で、ふくよかな女性たちに、恥じることはないと伝えようとする女性がいる。プラスサイズモデルの「ビビアン」こと金智陽(Vivian Geeyang Kim)さん(30)だ。だが、ビビアンさんはインターネット上で中傷の的となっている。
身長165センチ、体重70キロ、米国企業のためにモデルの仕事をしてきたビビアンさんは、米国のプラスサイズのファッションショーでは「痩せ過ぎ」と言われた。しかし、容姿へのこだわりが強烈な祖国では「とんでもないデブ」「吐き気がする」などとソーシャルメディア上で常にからかわれ、ばかにされている。
「韓国では女性の理想体重は50キロとされ、それよりも体重が多い大勢の女性たちは、自分が『デブ』だと思い込んでいる。多くの韓国人女性に自信を失わせている、ばかげていてあり得ない基準。変えていかなければならない」とAFPの取材にビビアンさんは語った。
米国サイズでは10号(日本の13号に相当)だというビビアンさんは、服のオンラインショップを手がけるとともに、韓国のプラスサイズ女性向けにファッション誌も発行している。所属事務所が食事を厳しく管理し、ガリガリに痩せた10代のKポップスターやテレビ女優らが美の基準となっている韓国では、前例のない試みだ。
■美容整形市場は約4800億円
韓国では、理想に近づかなければという重圧から、国内市場が約4800億円規模となっている美容整形に踏み切る女性も多い。鼻の整形から、上下の顎の整形といった大胆な施術まで、ありとあらゆる手術が行われている。
2013年に首都ソウル(Seoul)にある三育大学(Sahmyook University)が、BMI(体格指数)の値で18~23に相当する標準体重の女子学生154人を対象に行った調査によると、95%近くが自分の体に不満があると答えた。また60%以上が痩せる必要があると感じていた。
英国では今年、ビキニ姿の女性の写真に「ビーチに行く体の準備はできてる?」というキャッチコピーの入った広告が禁止されたが、韓国では痩身(そうしん)を促すようなこの種の広告が批判を受けることはまれだ。