居留地近くでパイプライン建設、米先住民らと建設会社側が衝突
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【9月5日 AFP】(写真追加)米中西部最北のノースダコタ(North Dakota)州にある先住民スタンディングロック・スー族(Standing Rock Sioux Tribe)の居留地近くで3日午後、石油パイプライン建設に反対する先住民ら数百人と建設会社の作業員や警備員が衝突した。先住民たちは、先祖ゆかりの聖地を建設作業員らが破壊していると非難している。
問題となっているのはノースダコタ州の広大な草原の中にあるキャノンボール(Cannon Ball)と呼ばれる地域。スタンディングロック・スー族の居留地からは1マイル(約1.6キロ)も離れていない。スタンディングロック・スー族は、先祖の聖なる埋葬地や祈りの場、文化的な遺物などを建設作業員らが掘り返し、破壊していると主張している。
キャノンボールにおけるパイプライン建設は、建設会社側の判断で中断されているが、反対派のデモ隊は3日、新たな掘削が行われているとの情報を入手。フェンスを突破して建設会社が雇った警備員との間で小競り合いとなり、警備員側は犬数匹と催涙スプレーで応戦した。スタンディングロック・スー族の声明によると、デモ隊はブルドーザーに乗った作業員とにらみ合いになり、作業を中断させたものの、2マイル(約3.2キロ)にわたって先祖の墓地が破壊されたという。
デモ参加者の1人はAFPに対し、建設会社側が「トラックやブルドーザーで私たちを押し返そうとした」と述べた。負傷して血を流す人や、犬にかまれた痕がある人もいた。モートン郡(Morton County)保安官事務所によると、警備員にも3人の負傷者が出た。
スタンディングロック・スー族はパイプライン建設によって飲み水が危険にさらされ、先祖伝来の遺跡が破壊されると訴え、計画中止を求めて裁判を起こしている。全米各地の先住民が支援に駆け付けており、居留地近くにキャンプを張って数か月にわたり抗議を続けている。(c)AFP/Nova SAFO