日露首脳会談、領土問題の見通しは依然不透明
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【9月3日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相とロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は2日、ロシア極東のウラジオストク(Vladivostok)で開催された「東方経済フォーラム」出席に合わせて会談し、両国間の貿易促進と長引く北方領土問題の前進を図って意見を交わした。しかし、領土問題で大きな進展には至らなかった。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は記者団に対し、両首脳は主に経済協力について話し合う中で領土問題についても議論したが、解決の見通しは依然不透明だと語った。
ラブロフ外相は「日本には北方領土での共同経済活動について協議する用意があると感じる」と述べ、さらに両国が人道的な協力についても検討していると明かした。
専門家は、最近の両国の関係改善に向けた動きは、ロシアにとっては米国の強固な同盟国である日本との貿易関係強化につながるが、領土問題の解決には至らないとみている。
ロシアの政治アナリスト、コンスタンティン・カラチェフ(Konstantin Kalachev)氏は、「日本は北方領土の領有権の主張を取り下げるつもりはなく、ロシアも日本の領有権を決して認めないだろう」と指摘する。
米国と欧州連合(EU)がウクライナへの軍事介入をめぐってロシアに科している経済制裁に日本は同調しており、低迷する日露貿易の足かせになっている。昨年の日露間の貿易高は、前年比31%減の213億ドル(約2兆2100億円)に落ち込んだ。
プーチン大統領の外交政策顧問のユーリ・ウシャコフ(Yury Ushakov)氏は報道陣に、日本政府による制裁にもかかわらず、ロシア市場は日本の経済界にとって「大きな関心事」であり続けていると語った。
今回の東方経済フォーラムで日本側は、ロシアのラブロフ外相やアレクサンドル・ノバク(Alexander Novak)エネルギー相、 デニス・マントゥロフ(Denis Manturov)産業貿易相などの政府高官らと経済問題について幅広く議論した。
ロシア側からは、国営石油会社ロスネフチ(Rosneft)のイーゴリ・セチン(Igor Sechin)CEO(最高経営責任者)や、アルミ大手UCルサール(UC Rusal)のオレグ・デリパスカ(Oleg Deripaska)社長らも参加した。
安倍首相は5月に黒海(Black Sea)沿岸のロシアのソチ(Sochi)でプーチン大統領と会談した際、エネルギーや農業、工業生産などに関する「8項目の協力プラン」を提案していた。(c)AFP/Maria PANINA