ジカ媒介蚊駆除で養蜂家に大打撃 殺虫剤散布でハチ数百万匹死ぬ 米
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【9月3日 AFP】米サウスカロライナ(South Carolina)州サマービル(Summerville)で養蜂業を営んでいるジャニタ・スタンレー(Juanita Stanley)さんが8月29日の朝に目を覚ますと、養蜂場から耳慣れたハチの羽音が消えていた。
当局は週末、蚊が媒介するジカウイルスのまん延を防ぐために、安全性をめぐって物議を醸している殺虫剤「ナレド(Naled)」をサウスカロライナ州の一部地域に散布していた。数百万匹のハチの死因がこの薬剤散布であることは明らかだ。
スタンリーさんは、自身が経営する「フラワータウン養蜂直売所(Flowertown Bee Farm and Supplies)」のフェイスブック(Facebook)ページに、「家業が(殺虫剤の)空中散布によって台無しにされてしまいました」「この話をシェアして私たちを助けてください。どうか、うちのハチたちの死を無駄にしないでください」と投稿した。
地元テレビ局WCSCが報じたところによると、フラワータウン養蜂直売所は巣箱46個、250万匹のハチを失った。
サマービルの大半を管轄下に置くドーチェスター(Dorchester)郡は、その前日の28日、同地域でジカウイルス感染が4例確認されたことを受け、殺虫剤の空中散布を命じていた。
郡の行政官ジェイソン・ワード(Jason Ward)氏は声明で、「ドーチェスター郡は、8月28日に薬剤の空中散布を行った地域でハチの巣箱が駄目になった養蜂家がいることは認識している」と述べ、被害を受けた養蜂家に損失額を届け出るよう呼び掛けた。
問題の殺虫剤、ナレドは、人体や生態系に悪影響を及ぼすと懸念されているにもかかわらず、米国内では蚊を駆除する目的で1959年から使用されてきた。欧州連合(EU)は2012年にナレドの使用を禁止したが、米環境保護局(EPA)は散布する量が少なめであれば安全性に問題はないと保証している。
ワード氏は、現時点でドーチェスター郡では殺虫剤の空中散布は今後一切予定していないとした上で、「薬剤の空中散布は、当該地域で蚊を駆除するために実施しているトラックによる農薬散布と、蚊の幼虫のボウフラの発生を抑制する計画を補完するために行っている」と強調している。(c)AFP/Leila MACOR