【9月1日 AFP】現職が再選された大統領選の開票結果をめぐって首都で暴動が広がっているアフリカ中部ガボンで1日未明、野党本部に治安部隊が突入し、2人が死亡、19人以上が負傷した。野党の大統領候補で前アフリカ連合(AU)委員長のジャン・ピン(Jean Ping)氏が、本部内からの情報として語った。

 ガボンでは先週末に投票が行われた大統領選の開票結果が8月31日に発表され、現職のアリ・ボンゴ(Ali Bongo)大統領がピン氏をわずかな差で上回り再選された。しかし、ボンゴ氏が当選を「盗んだ」と怒った市民数千人が首都リーブルビル(Libreville)の路上に繰り出し、抗議デモを展開。重武装した治安部隊と街頭で衝突し、少なくとも6人が負傷した。

 リーブルビルでは市内各所で銃声がとどろき、放火された国民議会議事堂から煙が立ち上っている。

 こうした情勢下、ピン氏は野党本部内にいた人物から聞いた話として、本部ビルを取り囲んだ治安部隊が1日午前1時(日本時間午前9時)ごろに突入してきたと説明。大統領の警備を担うエリート部隊だったとして、「ヘリコプターで空爆した後、地上から攻撃してきた。19人が負傷し、重傷者もいる」と述べた。ピン氏自身は当時、野党本部内にはいなかった。

 一方、本部ビル内に居合わせたという野党・国民連合(UN)のザカリ・ミボト(Zacharie Myboto)代表によると、治安部隊はビル内部に催涙ガス弾を投げ入れてから銃撃してきたという。

 政府報道官は、野党本部を攻撃した作戦について、議事堂に放火した「犯罪者ら」を拘束するのが目的だったと説明。「議事堂に火を付けた連中が、武装してジャン・ピン氏の本部に集まっていた。数百人の略奪犯や強盗も一緒だった。彼らは政治的なデモ隊ではなく、犯罪者だ」と述べた。

 ガボン旧宗主国フランスは1日、「強い懸念」を表明し、全関係者に「最大限の抑制」を呼び掛けた。27日の選挙について、31日の選挙管理委員会の会合への出席を阻まれた欧州連合(EU)の監視団は「透明性に欠けた方法で行われた」と述べている。(c)AFP/Samir TOUNSI, Celia LEBUR