米国や日本の反ドーピング機関が会合、内部告発者の保護などをWADAに提案
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【9月1日 AFP】米国や英国、フランス、そして日本など、各国の反ドーピング機関(NADO)からなるグループが、デンマークのコペンハーゲン(Copenhagen)で行われていた会合を終え、内部告発者の保護などの提案を世界反ドーピング機関(WADA)に対して行った。
17か国のNADOからなるグループは、代表が2日間にわたり会合を行い、薬物違反との戦いにおいては独立性と透明性を高める必要があるして、一連の改善策をWADAに提案した。
会合では、「反ドーピングに関する重要な決断および活動に、スポーツ界の指導者が不適切に関与することの防止、反ドーピング構造が十分ではない国での公平な試合環境の確保、ユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova)とビタリー・ステパノワ(Vitaly Stepanov)氏ら、現在または将来における内部告発者の保護と支援策の速やかな改革」について、WADAの機能を強化する方策が話し合われた。
陸上女子800メートルのステパノワと夫のビタリー氏は、ロシアのいわゆる国家ぐるみの薬物違反の一端を白日の下にさらした人物だが、スキャンダルの発覚後は米国で隠れながらの生活を強いられている。
NADOは、ステパノワ夫妻や将来の内部告発者には、「勇気ある貢献の見返りとして、相当度の表彰と報酬」を与えるべきだと提案している。
2人が提示した証拠などをきっかけに、ロシアは8月のリオデジャネイロ五輪で、米国に拠点を置く走り幅跳びのダリア・クリシナ(Darya Klishina)を除く陸上のほぼ全員が出場を禁止され、次週開幕するパラリンピックからは全選手が締め出されている。
NADOはほかにも、「世界ドーピング防止規定のモニタリング・システムの強化、規定の修正を通じた違反の範囲の明確化と広範化、業務に関する決断と活動、および内部統制の独立化」を求めている。
NADOは、反ドーピングのシステムはスポーツ組織はもちろん、WADAからも独立していなければならないと話し、反ドーピング機関の要職にある人間が、国際的なスポーツ連盟や、主要スポーツの主催団体に「同時に」所属するのは避けるべきだと訴えている。
この提案に従うなら、WADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は、現在のように、国際オリンピック委員会(IOC)の副会長を兼任することはできなくなる。(c)AFP