【8月31日 AFP】ポリシートで覆われた簡易ベッドが所狭しと並ぶハイチ・カルフール(Carrefour)のコレラ治療センターには、男性らや女性、子どもたちが数多く横たわり、そこには患者のプライバシーなど存在していない。この治療センターは、元は航空機の格納庫だったという。

 安全でない未処理の水を飲んだためか、汚染された食べ物のせいか、国連平和維持部隊が駐留する基地付近で2010年10月にコレラが発生して以来、80万人近くのハイチ住民がこの病気に感染している。

 国連は今月初め、ハイチで1万人が死亡したコレラ発生に関して、ネパールの国連平和維持部隊がハイチに菌を持ち込んだ責任を初めて認めた。だがその一方で同機関は、訴訟に対する法的義務を免かれることも同時に主張した。

 国連の責任問題をよそに、現場の医療チームは、問題に取り組むための資金不足について頭を悩ませている。この状況について、在ハイチ国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)の副代表は「10月以降、迅速な対応への支援をどう継続するか、誰にもわからない」と述べた。

 急性下痢症は治療なしで放置されると、数時間で死亡する恐れがある。人道的組織の介入は、現時点において、コレラの拡大をケースバイケースで防止するだけになっている。仏NGO「ACTEDAgency for Technical Cooperation and Development)」は、急性下痢症で入院した患者に面接し、感染経過の突き止め作業を行っている。

「ACTED」のチームは入院患者の家を訪れ、壁やトイレを殺菌して、施設を共同で使用する人たちの感染予防も行っている。作業中、村人たちが興味本位で近づいてくるが、彼らにはコレラ予防についての話をするという。目下のところ、この「緊急啓蒙キャンペーン」が唯一のコレラ対策行動となっている。

 国連によると、コレラの流行が始まってから6年が経過したが、ハイチでは家にトイレがない人が72%、安全な飲料水の入手ができない人が42%に上るという。

 同国では、コレラの感染件数が毎週新たに500件報告されており、史上最悪規模でコレラが流行している。「今年に入ってから、この国では(感染が)2万5000件となっている」とハイチのユニセフ副代表は説明した。