【8月30日 AFP】ネパール当局は、世界最高峰エベレスト(Mount Everest)登頂成功の証拠写真を捏造(ねつぞう)したインド人の警察官夫婦に対し、10年間の登山禁止処分を科した。当局者が30日、明らかにした。

 インド警察で共に巡査のディネーシュ・ラソッド(Dinesh Rathod)さんとタラケシュワリ・ラソッド(Tarakeshwari Rathod)さん夫婦は、今年5月23日にエベレスト登頂に成功したと語っていた。しかし、他の登山家らは夫婦の主張に疑惑の目を向け、2人の山頂での写真は捏造されたものだという見方を示していた。

 ネパールの観光当局は当初、夫婦の登頂を認定していたが、後に調査を実施。観光庁のスダルシャン・プラサド・ダカール(Sudarshan Prasad Dhakal)長官は29日、AFPの取材に対して処分について言及し、「調査により、夫婦が登頂の成功を偽っていたことが分かった。2人にネパール内の全ての山岳における10年間の登山禁止処分を科した」と明かした。

 ダカール長官によると、夫婦が提出した写真を分析したところ、別のインド人登山家がエベレスト登頂に成功した際に撮影した写真に、夫婦の姿および掲げた旗を重ね合わせる加工を施していたことが判明した。

 ダカール長官は「夫婦に何度も説明を求めたが、2人は調査に協力しなかった。登山を手伝ったガイド2人も姿をくらませている」と述べるとともに、「今回の処分は、登山家らに対しモラルを堅持するよう促す警告になるはずだ」としている。

 標高8848メートルのエベレスト登頂成功者の中には、講演や執筆活動によって収入を得たりキャリアを築いたりしている人も多いとされる。(c)AFP