【8月30日 AFP】米国政府は29日、内戦が続くシリアから2016会計年度（2015年10月～2016年9月）に受け入れた難民が同日中にも1万人に達する見通しになったと発表した。1年で1万人を受け入れるとして物議を醸していた目標を、1か月前倒しで達成する形となった。

　米国が受け入れるシリア難民は国際連合（UN）の難民キャンプから選ばれた人たちで、米国の治安・情報機関による厳しい審査も受ける。夫を亡くした女性や高齢者、障害者と同様に「脆弱（ぜいじゃく）」と分類される。

　スーザン・ライス（Susan Rice）大統領補佐官（国家安全保障問題担当）は29日の声明で、米国に到着するシリア難民は同日午後にも1万人に届くと明らかにした。これは前年比の6倍で、達成日も予定よりも1か月以上早いという。ライス補佐官は「意義ある一歩」と高く評価した。

　ライス氏によると、米国による2016年度の全体の難民受け入れ数は少なくとも8万5000人に達する見込み。難民の出身国はシリアの他、コンゴ（旧ザイール）、イラク、ミャンマー、ソマリアなどとなっている。

　米国は伝統的に世界で難民に最も寛大な国とされるが、5年以上に及ぶシリア内戦に関しては対応が遅過ぎると活動家から批判を浴びてきた。

　一方、大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ（Donald Trump）氏をはじめとするバラク・オバマ（Barack Obama）大統領の対抗勢力は、イスラム過激派組織「イスラム国（IS）」の構成員らが難民を装って米国内に紛れ込む恐れがあると警告している。(c)AFP