人型ロボットから自動翻訳機まで、平昌五輪はハイテクな大会に
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【9月5日 AFP】2018年に開催される平昌冬季五輪では、ロボットが大会の安全に一役買い、特別に開発された技術が言葉の壁を低くするほか、ドローンも広範囲で有効活用し、韓国の優れたテクノロジーを大々的に売り出す「ハイテク」五輪になる――大会組織委員会の李熙範(イ・ヒボム、Lee Hee-beom)会長は、そう誇らしげに話している。
8月に開催されたリオデジャネイロ五輪でAFPのインタビューに応じた李会長は、平昌五輪でのロボットの使用について聞かれると、「セキュリティーだけでなく、ほかの分野でも活用する」と答え、「バリアフリーを目的に掲げた五輪にするために、言葉、年齢、ハンディキャップのバリアフリーに全力を尽くしていく。詳細は明かせないが、とにかく来ていただき、楽しむことをお勧めする」と語った。
一部開発中のテクノロジーについて詳細は明らかにされかったものの、近年の韓国は技術の進歩がめざましく、興味をかきたてられるものがある。特に韓国製人型ロボットのヒューボ(HUBO)は、高性能の音声認識や視力に加え、四輪を駆使して階段を上るなどの歩行能力にも優れている。このロボットは昨年の災害対応ロボットのコンテストで、車の運転や出入り、ドアの開閉、壁の切断、バルブ漏れの発見や対処など、優れた技術を示して優勝賞金200万ドル(約2億5000万円)を獲得した。
さらに、韓国のある兵器製造業社で開発されたロボット兵は、識別や警告のほかにも追跡を可能としており、命令を下せば侵入者を撃つこともできるという。
李会長はまた、平昌五輪で活用されるテクノロジーは「ロボットだけではない」とすると、「最新鋭のテクノロジーを準備している。ご存知の通り、韓国はITビジネスが進歩している。わが国はサムスン電子(Samsung Electronics)を含む最先端のベンチャー企業があり、情報技術の分野では最新のテクノロジーを開発中で、ロボットを含めて最新技術を駆使していくことになる」と胸を張った。
「バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)など、ほかにもあらゆる技術を準備している。ぜひ来て、その目で確かめてほしい」
■南北の合同入場行進
平昌五輪の大会組織委員会は昨年12月、韓国語を理解できない外国人のための自動翻訳技術について、政府の2省庁との業務協約に合意した。
韓国の大財閥を率いる趙亮鎬(Cho Yang-Ho、チョ・ヤンホ)前会長の突然の辞任を受け、今年5月に就任したばかりの李会長だが、大会への準備は極めて順調に進んでいると明言。各会場をはじめ、平昌からソウル(Seoul)、さらには仁川(Incheon)を結ぶ新たな高速鉄道や、高速道路などのインフラ整備も、すべて間に合う予定だとしている。
大会の広報担当者によれば、当初2兆2000億ウォン(約2000億円)だった予算は現在再検討されているものの、増額は15パーセントに満たないとされている。
リオ五輪を視察するためにブラジルを訪れ、アイデアとチェックリストであふれたノートを抱えて帰国した元産業資源相の李会長は、「30年前にソウル五輪を開催し、韓国は世界有数の国に成長した」とすると、「欧州各国をはじめ、ロシア、東欧諸国など、すべての国々との外交をオープンにしている。経済協力開発機構(OECD)のメンバーにも加わったので、わが国は平昌五輪とともに、世界の一員として国家の地位を向上させていきたい」と語った。
李会長はまた、2000年のシドニー五輪と2004年アテネ五輪、さらには2006年のトリノ冬季五輪と同様に、開会式では韓国と北朝鮮の選手団による合同入場行進の可能性はあるか問われると、「いかなる提案も受け入れる用意はあるが、まだ何も決まっていない。あくまでも希望の段階だ」と答え、前向きな姿勢を示した。(c)AFP/Talek HARRIS