【8月26日 AFP】米国で急性アレルギー反応の補助治療剤「エピペン(EpiPen)」の価格を以前の5倍まで引き上げて批判の的となっている米製薬会社マイラン(Mylan)は25日、患者の自己負担額を軽減する方針を明らかにした。しかし大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官を含む著名政治家は、それでは不十分だとして薬価自体の引き下げを求めている。

 エピペンは「アナフィラキシー」と呼ばれる急性アレルギー反応の応急処置に使われる注射薬で、マイランが製造をほぼ独占している。発表によると、患者の負担軽減措置は自己負担額を割り引く既存プログラムの拡充として行う。具体的には保険の未加入者らの自己負担をなくすほか、割引カードを使ってエピペン2本入りが最大で300ドル(約3万円)安く購入できるようにする。

 一方で、マイランはエピペンの価格そのものの引き下げは拒否した。エピペンの価格は同社がこの薬の権利を購入した2007年には2本入りで100ドル(約1万円)未満だったが、これまでに600ドル(約6万円)までつり上げられている。

 マイランの今回の対応に対し、米政界からは与野党を問わず厳しい批判の声が上がっている。クリントン氏陣営の報道担当者は、一部服用者を対象とした割引だけでは「保険料の上昇に転嫁されるだけ」であり、不十分な措置だと主張。価格自体を直ちに引き下げるよう求めた。

 共和党のチャック・グラスリー(Chuck Grassley)上院議員も、各保険加入者は依然として全額を負担しなければならないとして「満足な措置にはほど遠い」とこき下ろした。(c)AFP/Douglas Gillison