【8月24日 AFP】イスラエルの科学者チームは23日、重症度が最も高い種類の皮膚がんが、他の臓器に転移する仕組みを解明したと発表した。この病気の治療に大変革をもたらす可能性のある発見だという。

 イスラエル・テルアビブ大学(Tel Aviv University)の研究チームは、あらゆる皮膚がんの中で最も悪性度の高いメラノーマ(悪性黒色腫)が、このがんに関係する内包物を含む微小な小胞(しょうほう)を体の他の部位に送り込む能力を持つことを発見した。

 次に研究チームは、メラノーマの転移を防ぐ物質の開発に成功した。この物質は「未来の薬剤の有望な候補となる可能性がある」と研究チームは声明で述べている。

 英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー(Nature Cell Biology)に発表された研究論文の主執筆者、カーミット・レビ(Carmit Levy)氏は「われわれの研究は完全な治療法に向けた重要な一歩となる」と話す。「われわれの研究成果が、メラノーマを脅威ではない、容易に治療できる病気に変える助けになることを期待している」

 テルアビブ大の人類分子遺伝学・生化学学部のレビ氏は「メラノーマの脅威は、皮膚上に現れる最初の腫瘍にあるのではない」と論文に記している。「むしろ(その脅威は)転移にある。すなわち、脳、肺、肝臓、骨などの重要臓器にコロニーを形成するために送り込まれる腫瘍細胞が脅威なのだ」

「今回の研究ではメラノーマが遠隔臓器に転移する仕組みを解明し、転移期に至る前にそのプロセスを阻止する方法を発見した」とレビ氏は続けた。

 今回の研究は、テルアビブ大の研究チームがドイツのがん専門家らなどと共同で実施した。(c)AFP