【8月22日 AFP】ドイツ政府は、東西冷戦の終結後初めてとなる民間防衛計画を今週承認する見通しだ。計画の下、国民は数日分の食糧や飲料水の備蓄などが求められることになる。21日付の地元日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)が報じた。

 計画では軍に対する民間の支援を優先事項とし、建築物の防災力強化や医療制度の拡充も図る。24日に政府が承認する見込みという。

 FAZが引用した計画の一節では「従来型の防衛を必要とするようなドイツ領土に対する攻撃の可能性は低い」としながらも、「将来的に除外することのできない、存在が脅かされるような展開に対する十分な備えが必要だ」と指摘。また市民に対しては「10日間分の食糧」や、1人当たり1日2リットル程度とみられる「5日分の飲料水」の備蓄が奨励されるとも記している。

 内務省報道官はAFPの取材に対し、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の内閣が計画を承認する方針であることは認めたが、計画の詳細や同紙報道に関する言及は避けた。

 ナチス・ドイツ(Nazi)の経験を持つドイツは長年、防衛問題に対しては慎重な姿勢をとってきたが、今年に入って策定した新たな軍事計画は北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の枠組みの下、より大きな役割を国外で担っていくことへの野心を示す内容となっていた。

 また国内では7月、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した2件を含む複数の攻撃が発生しており、治安のあり方をめぐって激論が交わされている。(c)AFP