謎に包まれた「ボイニッチ手稿」、スペイン出版社が複製制作へ
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【8月22日 AFP】世界で最も謎に包まれた書籍の一つとされ、暗号もしくは未知の言語で書かれているとされる「ボイニッチ手稿(Voynich Manuscript)」──。これまでのところ、この数世紀前の古文書解読の取り組みは成功しておらず、世界的な暗号解読者による挑戦も失敗に終わっている。
洗練された文字列と奇妙な植物や裸の女性の挿絵が描かれたこの古文書をめぐっては、神秘的な力が宿ると一部では信じられており、その解読に生涯を捧げる専門家もいる。現在は、米エール大学(Yale University)のバイネッケ図書館(Beinecke Library)で厳重に保管されており、ごくまれに保管庫から姿を現す程度だ。
だがこのほど、スペイン北部の奥地に佇む小さな出版社「シロエ(Siloe)」が、同手稿の複製を制作する権利を得た。承諾を得るまでに約10年を費やしたという。
古写本の複製を専門とする同出版社は、ボイニッチ手稿の正確な複製898部を制作する。複製では、羊皮紙上の染みや穴、破れの縫合まで忠実に再現される。
バイネッケ図書館司書のレイモンド・クレメンス(Raymond Clemens)氏によると、複製は、古文書の閲覧希望者の多さに対応するために制作されるのだという。
初版の制作には約18か月かかる。緻密な作業は既に4月から行われている。(c)AFP/Marianne BARRIAUX