ビンラディン殺害作戦に参加の米兵士、手記出版めぐり政府と和解
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【8月20日 AFP】米国防総省は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の殺害作戦について手記を執筆した米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ、Navy SEALs)元隊員に対する訴えを取り下げた。元隊員の弁護人が19日、明らかにした。
元シールズ隊員の弁護人を務めるロバート・ラスキン(Robert Luskin)氏はAFPに対し、2012年に同作戦についての手記「No Easy Day: The Firsthand Account Of The Mission That Killed Osama Bin Laden(困難な日:ウサマ・ビンラディン殺害作戦 当事者の証言)」を出版した元シールズ隊員、マット・ビソネット(Matt Bissonnette)氏が米政府と和解したことを認めた。
これに先立ち、米司法省の広報官ニコール・ナバス(Nicole Navas)氏は声明を発表し、「ビソネット氏は米国の『No Easy Day』の出版から過去および将来にわたって手にする収益のすべてを米国に支払うことで合意している」と述べていた。ラスキン氏によると、ビソネット氏は印税や講演料など約680万ドル(約6億8000万円)を米政府に支払うことになる。
米政府は、国防総省の許可なく手記を出版し、機密保持規定に違反したとしてビソネット氏を訴えていた。
ビソネット氏は米ニュースサイト「デイリー・ビースト(The Daily Beast)」に対し、「当初の告訴理由は、私が機密を漏らしたということだったが…そうした事実は一切見つからなかった」と語り、「彼らはただ私に腹を立てており、何とかして私をやり込めたかったのだろう」と話した。また、「4年にわたって、彼らは細かいことをいちいち調査してきた。だが今になって…署名一つで解決した」と付け加えた。
一方で米当局は、キャスリン・ビグロー(Kathryn Bigelow)監督の映画『ゼロ・ダーク・サーティ(Zero Dark Thirty)』で脚本を担当したマーク・ボール(Mark Boal)氏に対し、ビンラディン殺害作戦の詳細を説明していたことから、ビソネット氏に対する告訴は二重基準だとして非難されていた。(c)AFP