【8月20日 AFP】11月に行われる米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の選対本部議長、ポール・マナフォート(Paul Manafort)氏が19日辞任した。マナフォート氏は、ウクライナ前政権から不正な金銭を受け取っていた疑惑が持たれており、トランプ陣営の刷新で第一線から退いていた。トランプ氏は最近行った発言が原因で低下した支持率の回復に苦戦している。

 トランプ氏は声明で「今朝、ポール・マナフォート氏が選対議長辞任を申し出て、私は彼の意思を受け入れた」と述べ、マナフォート氏の「素晴らしい働きぶり」に謝意を表し、「本物のプロ」だと同氏を称賛した。

 トランプ氏陣営は17日に米保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース(Breitbart News)」のスティーブン・バノン(Stephen Bannon)執行会長を選対本部の最高責任者(CEO)に迎え入れ、世論調査専門家のケリーアン・コンウェー(Kellyanne Conway)氏を選対本部長に昇格させていた。マナフォート氏は、トランプ氏の支持者の間でトランプ陣営の新時代の到来だと言われていた中で辞任した。

 トランプ氏は18日、これまで辛辣(しんらつ)な表現で人々を攻撃したことを後悔していると述べ、初めて自分の誤りを悔いる姿勢を見せたことで多くの人々が衝撃を受けていた。また19日には、全米および激戦州の世論調査でリードする民主党候補、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官との支持率の差を縮めるため初めてテレビ広告の放送も開始した。

 共和党全国委員会(Republican National Committee)のマイケル・スティール(Michael Steele)前委員長は19日、米ニュース局MSNBCで「トランプ氏の新たな選対陣営は、今のところ過去(の選対)よりもうまく行きそうだ」との見方を示した。

 トランプ氏は、共和党の指名候補選びが共和党全国大会までもつれ込む可能性が浮上していた今年3月、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)前大統領の顧問や、海外の独裁者のためのロビー活動をした経験を持つマナフォート氏を選対議長に任命していた。(c)AFP/Jennie Matthew