シリア軍がクルド人部隊を空爆、有志連合戦闘機が緊急発進
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【8月20日 AFP】米国防総省のジェフ・デービス(Jeff Davis)報道官は19日、シリア北東部の都市ハサカ(Hasakeh)でシリア軍機がクルド人民兵部隊「クルド人民防衛部隊(YPG)」に対する空爆を実施したため、YPGと行動を共にする米国人の軍事顧問を保護する目的で、米軍主導有志連合の戦闘機が緊急発進したと述べた。シリア軍に対するYPGへの攻撃で、シリアで続く内戦は新たな展開を見せたことになる。
デービス報道官によると、シリア政府は18日にSU24攻撃機2機を出動させ、米軍特殊部隊の軍事顧問と共に戦闘訓練を行うYPGが駐屯する同国北東部のハサカ付近の地域の空爆を行った。
シリア軍機を阻止するため米軍主導の有志連合に属する複数の戦闘機が緊急発進したが、到着した際には既にシリア軍機は現場を離れた後だったという。
デービス報道官は、「(戦闘機の緊急発進は)有志連合軍を保護するために行われた」と述べ、「われわれは有志連合軍の安全を確保する。シリア政府には、彼らに危険を及ぼす行為をしないよう忠告する。われわれは有志連合軍を危険にさらすいかなる行動も極めて深刻に受け止め、自己防衛のための行動を起こす」と付け加えた。
しかし、シリアは米国防総省による警告を無視し、19日にはハサカで2日連続となる空爆を行ったという。
18日の空爆が開始された直後、地上にいたYPGは無線を使用して空爆を停止するよう連絡を試みたものの、シリア軍機に無視されたという。米軍はその後、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を支援するため同国内の一部地域で空爆を続行しているロシアに連絡したものの、ロシア軍当局者は、ハサカの空爆を行ったのはシリア軍機であると述べたという。
デービス報道官は、「シリア政府がYPGに対する今回のような行動を起こしたことは前例がなく、非常に異例だ」と述べた。18日の空爆で有志連合軍の負傷者は報告されていないが、デービス報道官は詳細には言及せず、米軍は安全な場所に移動したと述べた。
同報道官はまた、米軍主導の有志連合軍は、現在周辺地域でさらに戦闘空中哨戒(Combat Air Patrol、CAP)を実施していると述べた。
米政府はYPGを米軍の対イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」作戦における重要な同盟部隊とみなしており、YPGに武器や、軍事顧問として米軍特殊部隊を送っている。(c)AFP