「愚かな米国人」の典型と化したロクテ、国内でバッシングの嵐
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【8月20日 AFP】競泳米国代表のライアン・ロクテ(Ryan Lochte)は、リオデジャネイロ五輪で強盗に銃を突き付けられて金品を奪われたという話をでっちあげたことにより、世界に向けてその醜態をさらした米国人たちの仲間入りを果たした。
五輪で通算12個のメダルを獲得しているスター選手のロクテと、そのチームメート3人がリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で強盗に遭ったとのニュースは当初、開催国ブラジルにとって大きな失態として受け止められていた。しかし、米国、そして世界中の人々はその後、4人の証言が徐々に崩れていく様子を、信じられぬ思いで目の当たりにすることになった。
真実はこうだった。――先週末のパーティーで酒に酔い、宿泊施設に戻る途中だった4人は、ガソリンスタンドに立ち寄ると、トイレで器物破損行為に及び、壁に向かって小便をしたため、警備員によって拘束された。
32歳のロクテは19日、自身の発言内容について「もっと注意深く、誠実であるべきだった」と謝罪した。だが、すでに彼のイメージは完全に崩壊したもようで、インターネット上はロクテに対する辛辣(しんらつ)なコメントであふれている。
ロクテは今や「国家の恥」や「リアルピノキオ」であり、世界最大のスポーツ大会で夜遊びに興じた末に、飲み仲間に後処理を押し付けて自分だけ帰国し、最後にはその仲間に裏切られた、金持ちでハンサムだが、頭が弱く目立ちたがり屋のスポーツマンとなった。
米大衆紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)は、「ライアン・ロクテは米国人が世界で嫌われるすべての理由を体現した人物になった」との見出しを付けた記事を掲載した。
米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)のコラムニスト、サリー・ジェンキンス(Sally Jenkins)氏は、世界で醜態をさらす米国人について、こう解説している。「気に障る米国人の『ブロ(bro)』というカテゴリーがある。Tシャツとジーンズに、高価なスエードの靴を履いたロクテはその代表だ。ロクテはあのパーティーの夜、ソーシャルメディア上で、自分の靴の値段をひけらかしていた」
米国の一個人がこれほどまで悪評を得たのは恐らく、昨年ジンバブエで人気ライオンの「セシル(Cecil)」を撃ち殺した狩猟愛好家で歯科医師のウォルター・パーマー(Walter Palmer)氏以来だろう。スポンサー各社がロクテとの契約を打ち切り始めるのは、時間の問題なのかもしれない。
あるツイッター(Twitter)ユーザーは、リオ五輪のプールが緑色になった理由は、ロクテがそこにも小便をしたからだと冷やかしている。ある新聞は風刺漫画で、「虚言」と書かれた鉄球に鎖でつながれ、プールの底に引きずり込まれるロクテの姿を描いた。
ロクテを含めた4人はまた、ブラジルの警察当局の捜査能力をみくびり、治安の悪いリオの評判を悪用しながらも、自分たちの行動がここまでの騒動に発展したことに驚いた様子を見せたことでも批判を浴びている。
米紙マイアミ・ヘラルド(Miami Herald)は、「これは高慢な米国人が持つ問題点の一つだ。彼らは単に問題を理解していないのだ。自分たちを被害者に仕立て上げたことで、ロクテとその友人らは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏と同じ特権意識をひけらかした。米国はナンバーワンであり、おまえたち第3世界のバナナ共和国は、われわれと比べ野蛮なのだ、と」
ワシントン・ポストのジェンキンス氏は、ロクテのイメージが地に落ちたのは当然の報いだと述べている。
「ロクテは当然ながら、有名人として終わりを迎えた。注目を欲する人にとっては、おそらくもっとも効果的な罰だろう。彼は忘却されてしかるべきだ」
(c)AFP