【8月19日 AFP】(写真追加)スペインの小さな町で、夫に先立たれた老婦人が教会のイエス・キリストのフレスコ画を修復した結果、あまりにひどい出来上がりに世界的な笑いの種になる出来事が、かつてあった。

「修復」された絵画は、漫画風な目で描かれた顔色の悪いサルのようで、口はゆがんだ染みのようだ。

 この出来事から数年がたち、セシリア・ヒメネス(Cecilia Gimenez)さん(85)に対する評判は一転した。ヒメネスによって修復されたキリストのフレスコ画「Ecce Homo(この人を見よ)」を一目見ようと、スペイン北東部ボルハ(Borja)の教会には人々が押し寄せ、修復画がプリントされたマグカップやTシャツが販売されている。そして20日には、この出来事から着想を得て作られたオペラが上演されることが決まった。

「バッハ(Bach)やグレゴリオ聖歌などの音楽と、(ポップ音楽の)レディー・ガガ(Lady Gaga)やフランク・シナトラ(Frank Sinatra)のような楽曲を合わせたハイブリッドだ」と、この歌劇を書いた米国の脚本家アンドリュー・フラック(Andrew Flack)氏は話した。

 フラック氏と作曲家のポール・ファウラー(Paul Fowler)氏は2012年8月に修復画が話題になっているのを見て、「この人を見よ」という題のオペラを作ることに決めた。「彼女(ヒメネスさん)が悪役からやがてヒーローになるのは分かっていたからね」とフラック氏は語った。

 ボルハの町長によると、騒動以降のボルハの累計観光客は17万人に上る。町の人口は5000人以下で、以前は観光ルートから遠く離れた地域だった。

 このオペラは20日に地元の聖歌隊と地域のプロの歌手によって上演され、フラック氏とファウラー氏は9月から米国の興行会社などにこの作品を売り込む方針だ。

 会場は教会の横の広場で、ヒメネスさんは最前列で観劇する。教会ではヒメネスさんの「修復画」が2ユーロ(約230円)の入場料で展示されている。(c)AFP/Marianne BARRIAUX