5300年前のミイラ、装具に5種類以上の皮革 研究
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【8月19日 AFP】イタリアとオーストリアの国境に位置するエッツタール・アルプス(Otztal Alps)で1991年に発見された、約5300年前のミイラ「アイスマン」の装具に、5種類以上の野生動物や家畜の皮革が用いられていたことが分かった。研究論文が18日、発表された。
イタリアの「ミイラとアイスマン研究所(Institute for Mummies and the Iceman)」の研究者は、「エッツィ」の愛称を持つこのミイラの皮革装具から採取したサンプル9種を調べた。対象となった装具は、毛皮の帽子や矢筒、数種類の皮革が使われた上着、腰巻、草が敷き詰められた履物、ぴったりとしたゲートル(脚半)など。
分析の結果、これらには動物数種の皮革が使われていたことが判明した。帽子の毛皮はヒグマのもので、矢筒は野生のノロジカの革、上着はヤギやヒツジなど家畜の革が縫い合わせされていた。
論文は、「上着には2種類の動物、少なくとも4枚の皮革が使われている」と説明している。
アイスマンの「ワードローブ」の中で特に注目に値するのは、手袋のようなゲートルだ。研究論文によると、スイス・シュニデヨッホ(Schnidejoch)で発見された約4500年前のゲートルにも、同様の皮革が材料として用いられていたことがこれまでに分かっているという。
論文は、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。(c)AFP