【8月17日 AFP】16日に行われたリオデジャネイロ五輪の陸上女子5000メートル予選で、レース中に転倒するアクシデントに襲われながらも、助け合ってゴールした2人の選手が決勝進出を認められた。同日、大会主催者が発表した。

 スポーツ選手らしい振る舞いで称賛を集めたのは、女子5000メートルに出場したニッキ・ハンブリン(Nikki Hamblin、ニュージーランド)とアビー・ダゴスティーノ(Abbey D'Agostino、米国)の2人。ドラマが起こったのは、ゴールまで残り2000メートルほどの地点だった。

 ダゴスティーノの足がハンブリンの足と接触すると、2人はもつれあうようにして転倒。メダル獲得の夢がついえたと思ったハンブリンは、がっくりとトラックに倒れ込んでいたが、その彼女に立ち上がるよう優しく声をかけ、完走を促したのがダゴスティーノだった。

 ハンブリンは、「転んでしまって、『何が起こったの?なんで私は倒れてるの?』と思っていたら、あの手が肩に乗せられて、『ほら、立ち上がって。ゴールしなきゃ』っていう感じでした。だから私も『確かにその通り。五輪なんだし、最後まで走らなきゃ』って思ったんです」と話した。

「アビーの行動にはすごく感謝しています。彼女は五輪の精神の表れ。会うのはこれが初めてだけど、彼女みたいな人に会ったのもこれが初めてです。本当にすごくなかったですか?とても素敵な女性だと思います」

 ダゴスティーノは接触で足首を痛めていたが、ハンブリンはあえて彼女を待つようにして走り、励ましながら2人は完走を果たした。

 ハンブリンは、「私を立たせてくれたときの、1パーセントでもお返しができたらと思ったんです。彼女がゴールできたときのうれしさは、言葉では言い表せません。自分がゴールして振り返ったらまだ走っていて、思わず『すごい』って言っちゃいました」と話している。

「あのときのことは一生忘れません。20年後、誰かにリオ五輪の思い出を聞かれたら、これが私の物語になります」

 当初はどちらも予選敗退に終わったかに思われた2人だが、大会主催者は後に19日の決勝進出を認める判断を下した。両選手は、こちらも接触の影響を受けたジェニファー・ウェンス(Jennifer Wenth、オーストリア)とともに勝ち上がりを決めた。(c)AFP