【8月17日 AFP】トルコで先月起きたクーデター未遂事件を題材にした映画が、同国の人気アクションシリーズの一作品として制作されることが決まった。プロデューサーが発表した。このシリーズでは「トルコ版ジェームズ・ボンド(James Bond)」として親しまれているアクションヒーローが活躍する。

 2003年にテレビドラマとして初めて登場した「狼の谷(Valley of the Wolves)」は、これまでにテレビ作品数十話の他、スピンオフ映画も複数制作されているトルコの人気シリーズだ。だが、その一方で、批評家の間では、トルコのナショナリズムや反米・反イスラエル主義が色濃く、イデオロギー的に偏向しているとの批判の声も根強い。

 制作会社パナ・フィルム(Pana Film)は15日夜、「クーデターの企てをテーマにした映画やテレビシリーズを作ってほしいという世論の強い要望に応え、映画『狼の谷/クーデター(Valley of the Wolves - Coup)』の制作を決定した」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 映画の詳細については明らかにされていないが、主演俳優のネジャーティ・シャシュマズ(Necati Sasmaz)扮(ふん)するトルコの元情報当局者、ポラット・アレムダル(Polat Alemdar)が再び登場し、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の失脚を狙ったクーデター首謀者に立ち向かう内容になるとみられている。

 アクサム(Aksam)紙によると、映画のメインテーマは米トルコ関係になるという。

 先月のクーデターについてトルコ当局は、その首謀者を米国在住のイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師であるとし、自国での裁判を主張しているが、同師の身柄引き渡しに応じない米国を厳しく非難している。

■事前に知っていた?

 クーデターを題材にしたこの映画をめぐっては、日刊紙ヒュリエト(Hurriyet)をはじめとする国内メディアが、作品のプロデューサーらが『狼の谷/クーデター』のウェブドメインを5月18日に既に取得していたことを報じている。これは、実際に事件が起きる2か月前のタイミングでの取得となる。

 ソーシャルメディアでは「『狼の谷』はクーデターを事前に把握していたのか」と疑問を投げ掛ける投稿も多く見られ、複数のメディアがこの状況を伝えた。

 トルコ政府は、クーデターに関する機密情報を事前に掴んでいたとする一部情報について、強く否定している。(c)AFP/Stuart WILLIAMS