ブラジル人の「ナチス並み」観戦マナー、仏選手が批判
このニュースをシェア
【8月17日 AFP】リオデジャネイロ五輪の男子棒高跳びで銀メダルを獲得したフランスのルノー・ラビレニ(Renaud Lavillenie)が、自分に浴びせられたブーイングややじの嵐をナチス・ドイツ(Nazi)になぞらえて非難したことを受け、五輪組織委員会は16日、ブラジル人の観戦マナーに問題があったことを認め、改善策を取る意向を表明した。
前大会で金メダルを獲得したものの、15日の男子棒高跳び決勝でブラジルのチアゴ・ブラス(Thiago Braz Da Silva)に敗れたラビレニは、観客から受けた扱いを、1936年のベルリン五輪で米国のジェシー・オーエンス(Jesse Owens)氏が受けた扱いになぞらえて批判した後、謝罪していた。
リオ五輪でこれまでにも、サッカーではよく見られる荒っぽい観戦方法が散見されたが、大会組織委の広報担当者マリオ・アンドラーダ(Mario Andrada)氏は、ブラジルサポーターの観戦が行き過ぎたものだったと認め、「ソーシャルメディアを通じ、ブラジル人ファンらとの対話を強化し、スポーツへの熱意を失うことなく適切で品のあるマナーでの観戦をするよう呼び掛ける予定だ」と述べた。
棒高跳び決勝では、22歳のブラスがメダル獲得に近づくにつれ、地元サポーターたちのやじや口笛が激しさを増していった。ブラスは最終的に、6メートル03の五輪新記録を樹立。敗れたラビレニは、観客の観戦マナーに怒りを爆発させ、次のように語っていた。
「1936年、観客はジェシー・オーエンスに敵対的だった。それ以降、こんなことは起きなかった」
「観戦に来て口笛を吹くより、家のテレビの前に座っているべきだ。そうすれば、スタジアムにはスポーツを見たい人が来てくれるだろう」
「本当に気分を害した。観客の悪意を感じた。僕たちのスポーツでは、ああいう光景は絶対に起きない」
「ブラジル人がチアゴを応援するのは完全に理解できる。至って普通のことだ。でも、対戦相手への無礼は普通ではない。嫌いな人に対しては、せいぜい無視はできても、侮辱するべきではない。僕はあれを侮辱と受け止めたのだから」
「五輪であんな光景を見るのは最悪の気分だ」
ラビレニは、長いキャリアの中でこのような扱いを受けたのは初めてだとも語った。決勝では、助走中のラビレニの姿がスタジアムの大型スクリーンに映ると、観客からのブーイングが大きくなった。ラビレニは観客のやじに対し、人さし指を立てて横に振り、さらに親指を下に向けるジェスチャーで対応。すると、観客からはさらに多くの口笛が上がった。
「今まで参加した全競技の中で、たとえ地元選手が勝ちそうな時でも観衆が選手らに向けて口笛を吹いたことは一度もなかった。信じられない」(ラビレニ)
「そうした行為が奨励されているわけではないのは分かるが、これはサッカーじゃない。スポーツ界に多大な影響を及ぼす五輪だ。毎年ある大会でもない。観客は今夜、多くの棒高跳び選手の体験を台無しにしたと思う」
「敬意もフェアプレーもない。これは五輪だ。五輪で敬意がなかったら、どこで得られる? スタジアムにいたブラジルの観衆には、非常にがっかりさせられ、悲しい気分になった」
ラビレニはその後、試合直後で気が立っていたとして、自らの発言について謝罪している。(c)AFP