【8月13日 AFP】12日に行われたリオデジャネイロ五輪の柔道男子100キロ超級の1回戦で、試合後にエジプトの選手がイスラエルの対戦相手の握手を拒み、会場でブーイングを浴びた。

 イスラエルのオル・サッソン(Or Sasson)との試合に敗れたエジプトのイスラム・エルシェハビ(Islam El Shehaby)は、試合終了後、サッソンへの礼と握手を拒否した。

 エルシェハビはサッソンに完敗したが、サッソンから握手を求められると無表情のまま後ずさった。

 退場しようとしたエルシェハビが審判から中央に戻って一礼するよう呼び戻されると、会場からは非難の大きなブーイングが起こった。

 一方、エジプト・オリンピック委員会のヒシャム・ハタブ(Hisham Hatab)会長は、メディアがエルシェハビに圧力をかけていたと非難した。

 2010年に世界選手権でメダルを獲得したエルシェハビは、ソーシャルメディアのユーザーや、自国の強硬派のイスラム教主義者団体などから試合を辞退すべきだと圧力をかけられていた。

 AFPの取材に応じたハタブ会長は、「エルシェハビは試合に出場するか辞退するか迷っていた。そのせいで神経質になっていた」として、「試合前に国内メディアからかけられていた重圧は非常に大きなものだった」と同選手を擁護した。

 エジプト・オリンピック委員会側では、エルシェハビに対し、「スポーツ精神にのっとって」戦い、メディアのプレッシャーは無視するよう話していたという。

「エルシェハビは出場を辞退することはしないと言っていたが、決断は本人に任せていた」「握手をしないことにしたのも彼個人で決めたことだ」と同委員会は述べている。

 国際柔道連盟(IJF)の広報担当者によれば、選手同士が試合後に握手をするのは任意だが、礼をするのは決まりであり、エルシェハビが審判に呼び戻されたのもそのためで、同選手は一礼はしたと述べた。

 エルシェハビは試合後、報道陣の取材には応じていない。(c)AFP/Barnaby CHESTERMAN