ナイジェリアで2人のポリオ新規患者、WHOが発表 根絶認定遠のく
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【8月12日 AFP】世界保健機関(WHO)は11日、ナイジェリア政府より、同国で2014年以来の再発となるポリオ(小児まひ)の新規患者が2人発生したとの報告を受けたと発表した。
ナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州に住むこの2人の子どもは、ポリオによるまひ症状を発症したと、WHOは声明で述べている。
この新規患者の発生は、7月に国内ポリオ患者がゼロになってから丸2年を迎えたばかりだったナイジェリアにとって大きな後退となる。同国はそのままいけば、2017年7月にポリオウイルス根絶の認定を受ける見込みだった。
WHOアフリカ地域事務局のマチディソ・モエティ(Matshidiso Moeti)局長は「現在の最優先事項は、感染発生地域周辺の子ども全員に、速やかに予防接種を受けさせることだ」と述べた。
イスラム原理主義国家の樹立を目指す過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」との紛争で荒廃したボルノ州ではこれまで、予防接種の実施が困難だった。
さらにボルノ州は現在、食糧危機に直面している。国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は7月、約5万人に上るナイジェリアの子どもが餓死の危機にさらされていると警告していた。
ユニセフ・ナイジェリア事務所の広報担当官は、AFP宛ての声明で「ナイジェリア北東部で野生株ポリオウイルスの発生が確認されたことは、紛争によって荒廃したボルノ州の子どもたちが直面している緊急事態を浮き彫りにしている。同州の子どもたちはすでに、危険なほど高い水準の栄養不良に直面している」と指摘した。
ナイジェリアでは、ワクチンの安全性に対する親たちの懸念を受け、2003年に一部の北部州がワクチン接種を禁止して以降、ポリオウイルスを封じ込るための懸命の取り組みが続けられていた。
WHOによると、感染力が高いウイルス感染症のポリオは、主に低年齢の子どもが発症し、永久的なまひを引き起こす恐れがある。治療法はなく、予防接種で防ぐことしかできないという。(c)AFP