【8月11日 AFP】米司法省は10日、メリーランド（Maryland）州ボルティモア（Baltimore）の市警がアフリカ系（黒人）住民に対し、過剰かつ違法な取り締まりや捜査、逮捕を長年にわたって行っていたと断定し厳しく批判する報告書を発表した。

　全163ページの報告書は、昨年4月にボルティモアで黒人のフレディ・グレイ（Freddie Gray）さん（当時25）が逮捕された際の負傷が原因で死亡し、住民らの暴動に発展した問題を受けて司法省が行っていた14か月に及ぶ調査結果をまとめたもの。

　ボルティモア市で開かれた記者会見で報告書を発表した司法省公民権局のバニータ・グプタ（Vanita Gupta）氏は、ボルティモア市警に「組織的な怠慢」と「構造的な欠陥」があることを確認したと述べた。

　報告書は、ボルティモア市警の職務の遂行方法について、アフリカ系住民が職務質問や捜査を受けたり逮捕されたりする頻度に「極端で不当な差別」がみられ、米憲法と米連邦法に違反していると述べている。

　報告書によれば、ボルティモア市の黒人人口は市全体の63％にもかかわらず
、路上で職務質問や身体検査を受けた人の84％がアフリカ系住民だった。また、2010年～15年に10回以上路上で警官に呼び止められた410人のうち、95％をアフリカ系が占めた。さらに、運転免許を所持するアフリカ系住民は市人口の60％だが、交通違反で取り締まりを受けた人では82％が黒人だった。

　一方、2010年～15年に行われた30万回以上の路上取り締まりのうち、実際に裁判所への出頭命令や逮捕につながったものはわずか3.7％で、職務質問と身体検査の多くは憲法に照らして正当な理由のないものだったとグプタ氏は指摘した。(c)AFP/Jennie MATTHEW