「絶対王者」が個人総合連覇、メダリストが内村をたたえる
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【8月11日 AFP】リオデジャネイロ五輪は10日、体操男子個人総合決勝が行われ、大本命の内村航平(Kohei Uchimura)が勇猛果敢な離れ業でライバルを逆転し、大会2連覇を達成した。
2日前の男子団体戦で日本に金メダルをもたらした27歳の内村は、22歳のオレグ・ベルニャエフ(Oleg Verniaiev、ウクライナ)に第3ローテーションからリードを許す展開となり、2012年のロンドン五輪で獲得した個人総合のタイトルを失うかに思われた。
しかし、最終種目の鉄棒で大胆な演技を披露した内村は、ベルニャエフを0.099点の僅差でかわし、3大会出場している五輪で通算7個目のメダルを手にした。銅メダルは英国のマックス・ウィットロック(Max Whitlock)が獲得している。
世界体操競技選手権(World Artistic Gymnastics Championships)の個人総合でも6連覇中の内村は、「2009年の世界選手権から個人総合は勝ち続けてきたけれど、今回ほど負けるんじゃないかと思った試合はない」とすると、「鉄棒では自分のやるべきことは分かっていた。冷静でいたことが成功のカギになったと思う」とコメントした。
体操競技の「絶対王者」として知られる内村にとって、五輪での個人総合2連覇は、1972年ミュンヘン五輪の加藤沢男(Sawao Kato)氏以来の快挙となった。内村はまた、男子個人総合では2008年に行われた北京五輪の銀メダルを含めてこれで3個目のメダルを獲得し、同種目のメダル数で加藤氏が持つ歴代最多記録に並んだ。
同種目の国別のメダル数では、旧ソ連と日本が歴代最多に並ぶ6個を獲得している。
勝利を確信していなかったとする内村に対し、ライバルたちはその心境を疑っている。
ベルニャエフは、「航平を追い詰められたことはうれしいが、結局今回も彼にタイトルを取られてしまった。彼(内村)が自分を疑っていたなんて、僕には思えないね」と反論した。
一方、世界選手権の男子個人総合で過去2度メダルを獲得しているウィットロックは、五輪の同種目に出場した英国人としては、1908年に銀メダルを獲得したウォルター・タイソール(Walter Tysal)氏以来のメダル獲得となった。
「内村からは刺激を受けている」と話す23歳のウィットロックは、「彼が示す自信には、いつも感銘を受けている。長い間これほどのレベルを保てるなんて信じられない」と王者をたたえた。(c)AFP/Emmeline MOORE