【8月10日 AFP】四肢を切断した英スコットランド(Scotland)出身の登山家ジェイミー・アンドリュー(Jamie Andrew)氏(47)が9日、スイスとイタリアの国境にあるアルプス山脈(Swiss Alps)にあるマッターホルン(Matterhorn 標高4478メートル)の登頂に成功した。アンドリュー氏はAFPに「何だってできないことはない」と語った。

 アンドリュー氏は、自身がマッターホルンに登頂した最初の四肢切断者だと証明することはできないと述べつつ、「間違いなく、僕がそうだ」と話した。

 アンドリュー氏は2人の山岳ガイドを伴い、約6時間かけて4日に頂上にたどり着き、さらに6時間半かけて下山した。伝えられているところでは、平均的な登山時間より5時間長い。

「素晴らしいことだ」とアンドリュー氏。「大事なのは記録を破ることではなく、自分の持っているものを最大限利用して、自分を信じ、一度に一歩ずつ進むことで自分にもすごいことがやれるんだと証明してみせることだ」

 誕生日の翌日に登頂したアンドリュー氏は、17年前、フランス・アルプス(French Alps)のレ・ドロワット(Les Droites)の北壁で登山事故に遭い、両脚のひざから下、両腕のひじから先の切断を余儀なくされた。登山パートナーのジェイミー・フィッシャー(Jamie Fisher)氏はこの事故で死亡した。

 3人の子どもの父親であるアンドリュー氏は2004年にタンザニアのキリマンジャロ山(Kilimanjaro 標高5895メートルの)を登頂し、それ以降、アルプスの多数の山の登頂に成功してきた。

 過去5年間はマッターホルンを目指してトレーニングに励んできた。2014年には山頂まで250メートルのところまで来たが、登頂は断念した。

「今回の登頂成功で、夢見た以上にずっと大きなことが達成できるということを分かってもらいたい。でも、それは必ずしも自分自身を危険にさらし、精神的・肉体的・感情的にやみくもに頑張れということではない」とアンドリュー氏は言う。

 次の冒険は何かとの質問に、アンドリュー氏はこう答えた。「そのことを考える前に休みを取りたいね。でも、これ以上の挑戦はきっと必ず出てくる」

(c)AFP