【8月7日 AFP】米国が交戦地帯以外で無人機攻撃の標的を選定する手順とその過程で大統領が果たす役割について記述した、「プレーブック」(作戦帳)とも呼ばれる文書「大統領政策指針」(PPG)が公開された。

 人権団体「米国自由人権協会(ACLU)」によって6日に公表されたPPGは18ページ。無人機攻撃の承認手順を米政府の従来の説明より詳しく記述し、「指定されたテロリストを標的とする致命的攻撃などの行為は、合理的に可能な限り(対象をその他のものと)区別し、かつ正確に行わなければならない」としている。

 米国が正式に関与している交戦地帯以外の場所でテロ容疑者を攻撃する作戦は、通常バラク・オバマ(Barack Obama)大統領自身が署名して承認する必要がある。こうした場所に該当する国にはパキスタンやリビア、ソマリア、イエメンがある。一方、イラクやシリア、アフガニスタンといった戦闘地域での攻撃は米軍が統制する。

 PPGは、この種の作戦は、法律面を精査した上で米国家安全保障会議(NSC)に送り、その後大統領に提出すると規定している。また、「特殊な状況ではない限り」、重要度の高い標的に対する無人機攻撃を、民間人に死者が出ないことが「ほぼ確実な」場合のみに実施すると述べている。さらに、米国が無人機攻撃を検討する際には他国の主権を尊重するべきだとしている。

 併せて、テロ容疑者を拘束した場合の手順の概要も規定し、オバマ大統領が閉鎖を表明しながらその実現に至っていないキューバのグアンタナモ(Guantanamo)収容所には身柄を移送しないと明言している。

 文書は5日遅く司法省の弁護団からACLUに引き渡され、6日にACLUによって公表された。一部編集されているものの、実態が明らかにされていない無人機攻撃について、ACLUが政府に情報公開を求めた長期訴訟が実を結んだ。

 オバマ政権は先月、2009~15年に主な交戦地帯以外で行われた無人機攻撃は推計473回だったと公表。民間人の死者は64人から116人の間、戦闘員の死者は最大2581人と述べた。ただ、民間人の死者数については、政府が実際より少なく見積もっているとする批判的な見方が絶えない。(c)AFP/Thomas WATKINS