【8月4日 AFP】イランで拘束されていた米国人4人が今年1月に釈放された際に、米政府が4億ドル(約400億円)相当の現金をイランに空輸していたことが明らかになり、野党・共和党はイラン側に身代金を支払ったとして批判を強めている。米ホワイトハウス(White House)は3日、現金は人質解放とは無関係だとして疑惑を否定した。

 イラン当局は1月、拘束していた米国人5人を釈放。米政府はこれと引き換えに、米国で有罪判決を受けたり訴追されたりしていたイラン人7人に恩赦を与えた。その数時間後にバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、イランの核開発問題をめぐる最終合意に基づき、イラン側に未払い金17億ドル(約1720億円)を支払うと発表した。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は2日、米国人のうち4人が解放された後、米政府がスイスフランとユーロで4億ドル相当の現金を木造パレット(荷役台)に積み、覆面貨物機で極秘裏にイランに輸送したと報道。共和党はこれを民主党攻撃の絶好の機会ととらえ、ポール・ライアン(Paul Ryan)下院議長は「もし事実ならば、イランに不当に拘束された米国人の解放のために米政府が身代金を払ったというわれわれの長年の疑惑が裏づけられる」と述べた。

 一方、大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は、声明で「テロ資金の空輸」と称し、問題の現金は「間違いなくテロリストの手に渡っただろう」などと批判した。

 これに対し、ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領報道官は「この4億ドルは、イランが1979年に武器調達費として米国に支払った金額の一部だ」と反論。輸送機で運んだのは米国とイランの間に銀行取引がないためだと説明した上で、「人質の解放に身代金を支払うのは、米国の方針に反する」と述べて疑惑を強く否定した。(c)AFP/Andrew BEATTY